自戒を込めて。
資産形成で失敗しないために
たった一つのこと
やってはいけないこと
タイムマシンで過去に戻ることはできないし、未来を知ることは誰にもできないのだから、タイミングを図って売買する投資は成功しません。
そんなことにお金を投じる人は、それが職業であるプロの投資家か、勝ち負けの興奮を味わいたいギャンブラーです。
これは「じゃんけん必勝法」と似ています。
必勝法の通りにやったとしても、勝つ時は勝つし負ける時は負ける、それだけのことです。
試してみると成功することがあるかもしれませんが、それはたまたまです。永遠に勝ち続けることができるわけではないのです。
やるべきことは一つ
仕事やギャンブルではない、資産形成のための投資においてやるべきことは、「買える時に買って、持ち続ける」、この一点のみです。
買うのは「あなたの資産」です。
当たり外れのある馬券や宝くじの類ではありません。
苗木を植えるつもりで資産を買ってください。長い年月をかけて、あなたの苗木(資産)を大木に、やがては資産の森へと育てるのです。
資産として何を持つか
売買タイミングで儲けようとは考えず、何を持つか(どんな資産を育てるか)、つまり「アセット・アロケーション(資産配分)」に意識を向けましょう。
伝統的な、オーソドックスな資産(アセット)の配分としては「株式と債券を半分ずつ」などがあります。
個人投資家、特にこれから投資を始めるといった初心者は、もっとシンプルに「株式と現金」で考えてよいでしょう。
株式は、全世界株式または米国株式市場のインデックス・ファンドがおすすめです。
投資対象が広く分散されており、長期で右肩上がりが期待できる、つまり、タイミングを考える必要性が低い(「いつ・何を」と考えなくてよい)からです。
具体的には、VTやVTI、またはそれに準ずる投資信託です。
どう買うか
リスク資産の範囲内で積立
持つべきファンドを決めたら、買える時に買えるだけ購入すれば良いだけです。
全財産を一気に投入するのはおすすめしません。
資産形成としてはそれでも構わないのですが、あなたの精神が不安定になる可能性があるからです。
リスク許容度
株式を買う、つまり現金をリスク資産に置き換えるということは、将来の資産増加が期待できると同時に、その価値が減るリスクも負うことを意味します。
「持ち続ける」ためには、資産の増加の時期だけではなく、減少の時期も必ず訪れることを覚えておいてください。
そのため、自分の全資産のうち、一時的に価値が減っても狼狽せずに済む金額の範囲を考えてください。(これをリスク許容度などと言います)
その金額の大小は、収入や年齢などの状況により人それぞれです。自分の心とよく相談して決めてください。
積み立て
リスク資産の配分が決まったら、その金額分、株式(投資信託)を購入します。
リスク許容度に応じた現金比率を守りながら、収入があるたびに、その配分にしたがって追加購入して、持ち続けます。
手動で購入しても構いませんが、自動的に購入する定期積立だと感情が邪魔しないのでおすすめです。
そうやって、蓄えたお金を遊ばせておくのではなく、お金が働いてくれる環境を整えていきます。
育成環境が整えば、時間の経過とともに資産が育っていきます。
より効率的な資産形成のために
投資を覚えると、少しでも多く、早く、お金を増やしたいという欲が生まれるかもしれませんが、その感情は禁物です。
苗木を買い足し続けることと、それが育つためのたっぷりな時間、これだけで充分なのです。
育成(資産形成)に必要なのは「時間」なのだということを忘れないようにしてください。
早くお金持ちになりたい欲求に駆られて、いろんなものに手を出してはいけません。
それは「じゃんけん必勝法」を探し続けるのと同じ行為です。
それよりも、資産形成のスピードを上げたければ「コスト削減」にこだわりましょう。
低コスト
投資信託を購入する際は、少しでもコスト(信託報酬)の低いものにしましょう。
何十年も保有するため、コンマ数パーセントも馬鹿にできません。
コストの高いファンドを保有するということは、その分、利回りの低い投資をしているのと同じことになってしまいます。
節税
節税にもこだわりましょう。
利益の20%以上も税金で引かれてしまいますから、その分、資産形成に時間がかかってしまいます。
つみたてNISAやiDeCoといった制度を活用すれば、リスクを上げることなく、利回りの高い投資をしているのと同じことです。
節約
無駄遣いを控えて、投資に回すお金を増やすのも良いですね。
その分、資産形成がスピードアップしますし、無駄遣いを続けている間は、なかなか資産は増えないものです。
いつ売るのか
お金がいらなくなった時です。
まだお金が欲しい、お金を増やしたいと思っている間は、持ち続けましょう。
もうお金は必要ない、これ以上資産を増やす必要はない、と、周囲の圧力や一時の感情ではなく平常心でそう思えるようになったら、育てた資産の取り崩しを検討してください。
お金への執着心がなくなった時が、売り時です。
つまり、お金よりも大事なもののために、売ってください。